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Letter番外編―猫と手紙 Part5

こんばんちは、管理人でございます。リアルの方が割と切羽詰まってるせいか、ここ最近全然執筆が進んでないと言う件・・・。とりあえず、今月の16日が終われば、ちょっとだけ余裕ができるのでそれまでは寝る間際に少しづつやるしかない!


 今回の更新は、「猫と手紙」の第5話。相変わらず容量少なめですが、切り方と分量考えるとこれが一番妥当だと考えたい・・・。決して引き延ばしてるとか、そんなつもりは一切ないのでご了承くださいw ↓



「なるほどね…」

 光が収まると、ナギはそう言った。
「おい、今の光はなんだったんだ?」

 目を細めたまま、祐樹はそう質問する。それに対して、ナギは答える。

「今のは、この杖の機能の一つ。悪いけど、お兄さんの記憶を覗かせてもらったよ」

「そういうこと。一応、宛先の個人情報とかは、手元にデータとして保存されてるけど、相違がないかの確認位しないと。てか、杖じゃなくって、私の名前はサヤだっての!まったく、自分で名づけたくせに、めったに呼んでくれないんだから…ブツブツ」

 ナギが説明して、サヤがそれに対して突っ込みを入れる。まるで漫才を見ているかのような雰囲気だが、人と杖の会話。あまりにも異常な光景に、祐樹は驚きを隠せなかった。

「お前たちは一体、何者なんだ?」

 彼は、どうにか言葉を搾り出す。

「僕はナギ。しがない手紙の配達人だよ」

「配達人…?」

 子供の遊びかなんかだろうか、そう尋ねようとしたが、ナギは続ける。

「そして、この杖は僕の相棒サヤ」

「よろしく~」

 軽い調子で挨拶してくるサヤ。腹話術の一種とも疑ったが、杖から発せられる声は、間違いなくナギと同年代くらいの女の子のもので、彼の声とは結びつかない。そして、祐樹は質問を重ねる。

「お前たちの目的は、その、何なんだ?」

「僕たち配達人の仕事は、魂を運び、そこに残された思いを手紙にして、相手に届けることだよ」

「思い…?」

「人であれ動物であれ、彼らは思いを残して死んでいく。でも、彼らは一度だけ、それを解き放つことができるんだよ。思いを手紙に託すことでね。そんな手紙を運ぶのが、僕たち配達人というわけさ」

 淡々と語るナギ。しかし、祐樹は疑問を解消するに至らなかった。一呼吸置いて、彼はこう尋ねた。

「ということは、俺宛の手紙を預かっているというわけか。んで、相手は誰なんだ?」

「それは…亡くなったお兄さんの家族からだよ」

 顔を伏せるナギ。祐樹は、彼に対する疑いを捨てた。彼は、家族のことについて一度も話していない。誰かから聞いたのかもしれないが、しゃべる杖を始めとして、普通では説明のつかない出来事が連続している以上、彼らの話を鵜呑みにしたほうが説明がつくからだ。そんな彼に対し、ナギは質問を投げかける。

「手紙を渡す前に、一つだけ聞かせてほしいことがあるんだ。お兄さんは、どうして今の生き方を選んだの?」

 いつになく真剣な顔でたずねてくる。その雰囲気に呑まれ、祐樹は何かを言いかける。しかし、その言葉を飲み込み、彼は新たな言葉をつむぐ。

「…それは、あの日決めたからだ」

 そう答える祐樹に対し、ナギは予想外の反応を示す。

「そういうことを聞いているわけじゃないんだ、お兄さん」

 そう言いながら、彼は詰め寄ってくる。それに対応するように、祐樹は後退しようとする。

「何が違うって言うんだよ。俺が言ってるんだから、それは…」

 苦し紛れに、そう答えようとする。すると、ナギはもう一歩詰め寄り、言った。

「僕が聞きたいのは、そんな上辺じゃなくて、もっと根本的なもの。つまり、どうしてそういう結論に至ったか、ということだよ」

「!?」

 祐樹は声がでなかった。先程、彼が飲み込んだ言葉。それこそが、無意識のうちに感じていた答えそのものだったからである。

「答えるつもりがないなら、客観的に見た答えを言わせてもらうよ」

 そう宣言すると、言葉どおり、ナギは続ける。

「…お兄さんはさ、きっと怖かったんだと思う」

 祐樹は答えない。

「家族の死に様を目の当たりにして、怖くなったんだと思う。大切な人を失うことに。そして、いつの日か、どんなに大切に思っている人でも、自分の下を離れていってしまうことにさ」

「…」

「でも、はっきり言って、それは間違えていると思うよ。もちろん、お兄さんの人生なんだし、否定することも、否定する気もないさ。でも、それでいいと、お兄さん自身が本気でそう思っているのかな?」

「俺は…」

 祐樹は必死に言葉を探す。しかし、探せば探すほど、出口が狭くなっていくような感覚に襲われ、気がつけば、導き出される答えは一つだけになっていた。

「俺はこれから…どうすればいいんだ?」

 祐樹は頭をたれ、ナギにそう問いかける。それに対し、ナギは答える。

「さっきも言ったけど、これはお兄さんの人生なんだ。部外者の僕がおいそれと口に出せるものでもないし、僕の知ったことでもないよ。こればっかりは、お兄さん自身が考えぬいて答えを出さないと意味がないんだよ」

「でも…」

「ただ、僕は配達人だからね。それの役に立つかは知らないけど、一つの指針を示してあげるよ」

 そう言ったところで、かすかに泣き声らしきものが聞こえてくる。そして、泣き声の主は、彼の足元から現れる。

「お前…」

 祐樹は思わず声を漏らす。それは、この一週間、彼とともにあった白猫だった。彼は、思わず猫に駆け寄ろうとする。すると、サヤから光が放たれる。その光は白猫を包み、やがて手紙へと姿を変える。

「あいつが…手紙?」

 目の前で起こっていることに驚きを隠せない祐樹。ナギは手紙を拾い上げる。

「「配達人には、杖型のデバイスと、それに付随する不思議な力が与えられるんだ。今やってみせたのも、その一つ。わかりやすく言えば、人工的に九十九神のようなものを作ったってこと」

「九十九神…」

 ナギは軽く頷く。

「そう。彼らは、思いの形によって、さまざまな形態をとる。そして、その期間は、思いの強さで変わる」

「思いの…強さ?」

「思いが強ければ、その姿で留まれる時間が延びるんだ。思いが弱ければ、それは数秒、強ければ、最長で一週間。お兄さんは、この意味わかるよね?」

 一週間。それは、彼が白猫と出会い、過ごした時間である。

 ナギは手紙を差し出す。祐樹は、しっかりと手を伸ばし、それを受け取った。

「うん、確かに渡したからね」

 ナギは笑顔を浮かべ、そう言った。その顔は、先ほどまでと打って変わり、年相応のそれだった。

「ありがとな、ナギ」

 祐樹は、ナギの頭に手を載せる。すると、ナギは頭を振って、載っている手を払う。

「もう、お兄さんたら。こう見えても、僕のほうがかなり年上なんだから、あまり子ども扱いしないでよ!」

 頬を膨らませ、彼はそう言う。セリフとミスマッチな行動に、祐樹は思わず笑いそうになる。

「それに、お礼を言われる謂れはないよ。僕は手紙を届けただけ。そこから先は、全部お兄さん次第なんだから」

「…そういうものなのか?」

「そういうものなんだよ!」

 子供に言い聞かせるように、彼は語尾を強める。彼の前には、まっすぐ見つめている祐樹の姿があった。それを認めると、彼は言った。

「それじゃ、帰るかな。サヤ、お願い」

 ナギが命じると、軽快な返事と同時に、彼の背中に翼が現れる。そして、それを羽ばたかせ、上空へと飛んでいく。

「…」

 祐樹は、空高く上がっていくナギを、何も言わず、否、何も言えずに見送る。そのまま、一度も振り返ることなく、彼は消えていった。


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