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Letter番外編 ― 猫と手紙 Part3

こんばんは、管理人でございます。色々と記事に書きたいことはあるものの、肝心の時間ががが・・・。


今回の更新は、週一回の小説更新になります。相変わらず、更新頻度が安定しませんが、リアルが妙なところで忙しいのでどうかご容赦をw これが終わったら、新作をアップしたいと思ってるんですが、今のペースだと間にあわない気がするのはどうしてだろう・・・。↓




 それは、あれから一週間ほどたった、ある日のこと。祐樹は、猫のもとに通うようになっていた。最初こそためらっていたものの、1日2日と経つうちに、それは消え去っていた。そして、気がつけば、登校前と放課後のほんのわずかな時間、猫と戯れることが日課となっていた。

「なあ、国崎。お前、なんか最近雰囲気が変わったか?」

 休み時間、隣の席に座っている男子生徒が、裕樹に話しかけてきた。

「え?別に、そんなことないと思うけど…」

 その問いに疑問を覚えながら、裕樹は答える。

「いやいやいや。ここ一週間くらい、頭に花が咲いたみたいに機嫌がいいだろ。今まではちょっとばかり気難しいやつだと思っていたんだが、彼女でもできたか?」

 そう指摘する男子生徒の声を聞きながら、裕樹は言われた意味を考えてみる。

(俺が…変わった?)

 それは、自分でも気がついていなかった。いや、気づいていたが、意図的に目をそむけていたというのが正解だろうか。なぜなら、それは自分のたてた誓いを破ることになるからである。あの日誓ったこと。それは、決意表明であり、自分のみを守る防護策でもあった。幼き日の自分は、そうでもしなければ耐えられなかった。たとえ、間違っているといわれても、それがなければ、とてもじゃないが、まともに生活などできなかった。ゆえに、防護策を作った。しかし、現にクラスメイトからは、指摘されている。

「……そろそろ潮時なのか」

「??何かいったか?」

 彼のつぶやきに、男子生徒は首をかしげる。すると、祐樹は普段どおりの表情で、こう言った。

「いや、何でも。さっきの話だけど、本当に何もないって。そもそも、彼女なんて面倒なだけだろ」

「ぬぅ。そんなリア充な発言が飛び出すとは、益々怪しい。てか、どう考えてもモテるやつの台詞だよな、それ!」

 熱弁を振るう男子生徒に対し、いつもどおり落ち着き払った様子で対応する。やがて、あきらめたのか、男子生徒はため息を漏らす。

「まあ、そこまで言うなら、別に聞きはしないけどな。ただ、国崎のそんな顔見るの初めてだからな、ちょっと気になったってだけだ」

「…そうかもな。でも、すぐにいつも通りの俺になるから、別に心配しなくていいよ。とりあえず、心配してくれてサンキュ!」

 そう言って、祐樹は立ち上がり、教室を後にする。そして、胸の中にもう一つの決心が生まれる。

「もう終わりにしないとな。これ以上、干渉するのはルール違反だ…」


 放課後、祐樹は再び空き地にやってきた。ここで彼は出会い、この一週間、毎日のように通っていた場所であった。しかし、今日に限っては、そこはいつもとは違うものに感じられた。

「せめて、最後くらいに別れを言うくらいなら、構わないよな?きっと、平気な…はず」

 誰もいない空き地で、誰かに問いかけるように呟く祐樹。そして、いつものように空き地の土管の中を覗く。

「おーい…あれ?」

 土管にもぐっていた祐樹が、這い出てくる。その手には、なにもなかった。

「……」

 彼は、再び土管の中を覗きこむ。続いて、土管の上、空き地の別の場所、はたまた空き地の周りを探し始める。しかし、いずれにも彼が探すものは見つからなかった。

「……」

 思わず黙り込む祐樹。すると、一瞬彼の表情に影が差す。

「まあ、いいか。所詮、野良猫だろうし、誰か別のやつにもらわれようとも、別のところに移って野垂れ死にしようと、俺には関係ない」

 そう言い放ち、空き地を後にする。そして、その夜、彼は一睡もできなかった。


「ひでぇ顔……」

 鏡を見るなり、そう言い放つ祐樹。そこには、いかにも寝不足かつ不健康そうな自分の顔があった。加えて、寝不足のせいで食欲がない、だるい、体が重いなど、諸症状も出ている。

「しょうがない。今日は学校サボるか…」

 そう考えて、布団に入ろうとする。すると、ふいにあの白猫のことが思い浮かぶ。

「何でこんなときに…」

 必死にそれを振り払おうとする祐樹。しかし、それは頭の中からはなれず、祐樹の頭の中に渦巻き続ける。

「ああ…くそ!」

 たまらなくなって、祐樹は布団から起き上がる。そして、ぼんやりとした頭で着替えを始める。着替えが終わると、鍵だけを持って外へ出て行った。


「やばい…ふらふらする……」

 悪態をつきながらも、歩き続ける祐樹。あまりのつらさに足が止まってしまいそうだったが、寸前のところでどうにか留まっていた。だが、一旦止まってしまえば、立ち上がれなくなるという、確信があった。そのため、重い体を引きずるようにして、先へと向かう。

「……」

 祐樹が立ち止まったのは、いつもの空き地の前だった。昨日も散々探したが、彼にとって、ここしか心当たりはなかったからだ。昨日と同じように、土管の上に、白猫の姿はなかった。しかし、いつもとは違うものがひとつあった。

「あいつは…こないだの子供か?」

 そこには、セーラー服調の服に、短いズボン、その上にマントを羽織るという、奇妙な格好をしていた、男の子-ナギ-があった。彼は、誰かを待つかのように、真ん中で立ち尽くしていた。

「おい…何しているんだ、お前?」

 息も絶え絶えに、祐樹は彼に声をかける。

「わあ、お兄さん、こんにちは」

 わざとらしく、大げさに振舞うナギ。そして、彼はこう続ける。

「まるで、いなくなった猫を探しに、無理してここに来たみたいな様子だね」

「!!」

 その言葉を聞いた祐樹は、ナギに詰め寄る。体調はよくないのに、不思議とその瞬間だけは、体が動いた。

「……何するのさ?」

 ナギが目を細める。そこには、彼の懐に飛び込んできて、胸倉をつかもうとする祐樹の姿があった。

「あいつを…どこにやった?」

 今にも殴りかかりそうな勢いで、そう尋ねる。すると、ナギは彼から距離をとって、こう告げた。

「あいつって…誰のことかな、お兄さん。僕には何のことか、さっぱり分からないな」

 子供っぽい表情で、そう答えるナギ。そして、その言葉はこう続いた。

「だって、白猫なんて最初から存在しなかったんだから」

 そういい残し、マントを翻して、その場を去ろうとする。

「おい、どういうことだ」

 祐樹は、声を荒げて、彼を呼び止める。ナギは振り返り、いつになく真剣な顔で、彼の顔を見つめている。

「……」

「黙ってないで、教えろよ!あいつをどこにやった?」

 頭に血が上っている祐樹は、怒鳴りつけるかのように彼に詰め寄る。すると、先ほどまで黙りこくっていたナギが口を開く。

「お兄さん、さっきから言っているけど、彼は最初から存在していなかったんだ。お兄さん以外の人には、視るのはおろか存在すら感じない、そういうものなんだ」

 淡々と語るナギ。それを聞いて、どこか薄ら寒さを感じた。しばしの沈黙の後、祐樹は口を開く。

「それがどういうことかは、俺にはわからない。俺が今まで見てきたものは、一体何なのか?もし、知っていたら、教えてくれ…」

 頭を下げる祐樹。しかし、頭上から降ってきた言葉は、厳しいものだった。

「教えてもいいけど、今のままのお兄さんじゃあ、それは無理な話だね」

「それは…どうしてだ?」

 祐樹は頭を上げ、そう尋ねる。目の前にいるはずのナギの姿が、なぜか遠くに見える。

「だって、お兄さんは逃げ続けているからだよ。過去から逃げ、今も逃げていて、そして将来にも逃げようとしている。今のままのお兄さんが真実を知っても、きっと意味がない」

「…どういうことだ?」

「それを、僕に言わせる気?」

 ナギは、失望かあるいは怒りをたたえた目で、見つめる。

「ずばり言ってしまえば、お兄さんの過去にあった、とある事件の認識を改めてもらう必要があるんだよ」

 抑揚のない、平坦な声で、ナギはそう告げた。

「それって…まさか」

 恐る恐る、ナギに尋ねるが、彼は無言だった。そして、それが肯定を示すものだということを、祐樹にはわかった。

「でも、それは……」

 できるはずがない、そう続けようとする。しかし、そこにナギの言葉が割って入る。

「できないなんて、言わないよね?悪いけど、ちょっと強引な手段をとらせて貰うよ」

 そう言うと、彼は天に向かって、右手をかざす。すると、何も持っていないはずの右手に、大きな杖が現れた。明らかに身の丈以上の長さの杖を、ナギは器用に操り、その先端を祐樹のほうに向ける。

「何をする気だ?」

 苦し紛れに、そう尋ねる。その言葉に対し、ナギは一言。

「大丈夫、すぐに済むから」

 その瞬間、杖から光が放たれ、祐樹はその光に包まれた。
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