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Letter番外編―猫と手紙 Part2

こんばんは、管理人でござい。なぜか仕事している時の方が気持ちが休まる気がするんですが、これは若干まずいですかね?いや、単純に仕事に干され気味な反動かもしれませんがw


 今回の更新は、「猫と手紙」の第2話。あまり長い話じゃないので、どうにか週一ペースで繋げていきたいところ。ただでさえ、今ストックが死んでると言うのに・・・(ボソ 。それでは、続きは↓からお願いします。


* *

「え……?」

 思わず、そんな言葉が口を出てしまう。それほど、今自分が置かれている状況がわからなかった。

「なにぶん急なことで理解が追いつかないのはわかる。先生が今、車を出すから、国崎はそれに乗って、今すぐ病院に向かいなさい」

 そう言って、当時担任だった男子教師は、急いで駆け出す。俺は、ほかの先生たちと共に、その場で待つ。


 修学旅行で泊まっている旅館に、一本の電話がかかってきた。電話の主は、近所に住む、自分の叔母に当たる人物からだった。そして、彼女は、俺の家族が事故に遭って、病院に運ばれたと告げた。たまたま俺を除く3人で車に乗って移動していたところ、対向車線から居眠り運転の車が突っ込んできたらしく、車は全壊、両親と弟は、救急車で病院に運ばれたらしい。

 そんな話を担任から説明されたが、俺にはいまいち実感がわかなかった。なぜなら、3人とも今朝まではいつもと変わらず、笑顔を見せていたからだ。朝が早くても、いつものように送り出してくれた両親、いつもなら寝ているはずなのに、がんばって早起きして、両親と共に送り出してくれた弟の裕太。その顔は、まだ覚えている。今告げられたものは思いのよらないものだったが、性質の悪い冗談の類だと信じていた。やがて、車の準備ができた担任について、3人が運ばれた病院へと向かう。その間、俺はずっと本当であるはずがないと、心の中で祈り続けていた・・・





「ん……」

 祐樹が目覚めると、そこはテーブルの上だった。変な体勢で寝ていたせいか、体中に痛みが走る。しかし、それでも体を起こし、部屋へと向かい、歩き出す。

「そういえば、あいつ…結局どうしてんだろ?」

 ドアに手をかけたところで、ふと思い出す。それは、昨日見かけた白猫のことである。一瞬心配そうな表情を浮かべるが、すぐにきびしい表情に変わる。

「ははは…何言ってんだろ。あいつとは、もう関わらないって決めたばっかりだというのに」

 自室の部屋のドアを開け、そのまま中へと入っていく。彼の部屋は、本棚と小さいテーブル、クローゼット以外のものが置いてあるだけの、実にシンプルなものだった。強いて言えば、押入れの中にも、布団が入っているが、彩りというものはほとんど見られない。そして、クローゼットから制服を取り出し、着替えを始める。5分ほどで着替えを終わらせると、かばんの中身を入れ替え、部屋を後にする。

「朝食は…確か、食パンがあったはず」

 キッチンに向かいながら、祐樹はそんなことを考えていた。キッチンに着くと、うろ覚えで食パンの在り処を探す。程なくして、それは見つかり、トースターに何枚か突っ込む。その間、祐樹はやかんに火をかけ、飲み物の準備にかかった。しかし、そこでも気にかかるのは、猫のことばかりだった。彼は、必死に頭の中から、それを振り切ろうとしたが、なぜか離れようとしない。終いには、「まあ、様子を見に行くくらいなら…」と、態度を改める。思考が終了したところで、パンが焼けたので、彼は配膳に取り掛かった。


「どうしたんだ、お前?」

 クラスメイトが、祐樹の顔を覗き込んできた。祐樹は、うざったそうな様子で、手で押しのける。すると、案の定、文句を言われる。

「何だよ、せっかく心配してやってるというのに」

「ああ、すまん。いろいろと考え事をしててな」

 力なく、彼は答える。

「考え事って、いったいなんだよ?」

「…俺にも、いろいろ悩みがあるってことさ。お前みたいに悩みがないやつがうらやましいや」

「何気なくひどいことをさらりと言うな、おい…」

 クラスメイトが苦笑する。

「そんなわけで、昨日の夜もあまり寝られなかったんだ。だから、寝る」

 言葉どおり、祐樹は今にも寝そうな勢いだった。

「そうか。だったら、邪魔しちゃ悪いな。とっとと寝ないと、休み時間が終わっちまうしな」

「おう。先生来たら、起こしに来いよ。んじゃ!」

 そう言って、机に突っ伏す。クラスメイトの「隣のやつにでも頼むんだな」という声が聞こえた気がするが、聞かなかったことにして、眠りへと入る。しかし、眠気があったものの、何かが頭の中で引っかかり、ほとんど眠れないまま、予鈴が鳴り響き、眠りの世界から引きずり出された。


授業がすべて終了すると、祐樹はあわてた様子で教室を後にする。そして、向かったのは、昨日の空き地だった。

「はぁ…はぁ……」

 息を切らせて、空き地に到着する。白猫の姿は見えなかった。しかし、土管の中からか細い声が聞こえた。

「はぁ…はぁ…また…かよ」

 祐樹は昨日と同じように、土管へと向かい、中を覗き込む。すると、やはり昨日と同じように白猫の姿がそこにあった。祐樹は、白猫が逃げないように、しっかりとホールドして、引き摺りだす。

「にゃう~」

 引き摺りだされた猫は、祐樹の手の中であくびをしていた。その様子に、いくらか呆れた表情を見せる。

「お前なぁ、少しは探すほうの身にもなれって…」

 祐樹はそうぼやくが、当の白猫は、きょとんとした顔で、彼を見つめている。

「まあ、なんとなく、そんな気はしたけどな」

 苦笑を浮かべつつ、彼は土管の上に白猫をのせる。

「にゃう…?」

「もうちょっと遊んでやりたいところだけど、あいにく、これから仕事だからな。また来るから、それまでは……」

 そこまで言ったところで、言葉が止まる。何とも言えない雰囲気が漂う。

「にゃう?」

 その声で、祐樹は我にかえる。

「とりあえず、また来るから…」

 そういい残し、彼は空き地を後にする。途中、何度か後ろを確認していたが、空き地が見えなくなると、あわてて走っていく。そして、屋根の上から彼らを観察する小さな影の存在も、そこにはあった。その小さい影は、セーラー服調の上着に短いズボン、その上にマントを羽織るといった、どこか奇抜な格好だった。


* *

「……」

 白い壁と、それに合わせたように白いベンチ。俺は、ベンチに座って、一人うなだれていた。

 両親と弟が運ばれたという病院に着いたのは、1時間ほど前のことだった。担任に付き添われて、病院の中に入ると、担任が受付で場所を聞いてくれたので、二人でその場所へ向かった。

「母さん…父さん……雄太」

 俺たちがやってきたのは、処置室だった。入り口からは、医者やら看護師がひっきりなしに出入りしていた。そんな光景を見て、俺たちは邪魔にならないように、壁側に寄ることしかできなかった。

「祐樹くん!!」

 向かい側の壁のほうから、誰かが呼んでいた。目をやると、先ほど連絡をくれた叔母さんの姿が、そこにあった。出入りの邪魔にならないように、向かい側まで移動する。

「叔母さん…」

「ああ、よかった。やっと会えた。今、治療を受けているみたいなんだけど、3人ともひどい怪我みたいで、助かるかどうかはまだ…」

 叔母さんは、俺の顔を見て安心したのか、一瞬安堵の表情を浮かべるが、途端に申し訳なさそうな表情を浮かべ、現状を説明した。

「…」

 何かを言わなくては、そう思った。しかし、叔母さんの表情を見ると、何も言い返すことができず、ただただ黙り込む。

「国崎君の親族の方ですね。はじめまして、私が担任の小林といいます」

 小林が、叔母さんに向かって会釈する。すると、叔母さんは折り目正しく挨拶する。やがて話が終わると、小林は宿へと帰っていた。帰り際、小林からは「何かあったら連絡するように」と言われ、軽く頷く。そして、小林は帰っていき、その場には、俺と叔母さんだけが残された。

「……」

「……」

 それから一時間。二人の間には、会話がない。最初のほうこそ、叔母さんの方から、「元気出して」とか、「大丈夫だから」という励ましの言葉もあったが、黙り込んでいるうちにそれも無くなった。そして、流れるのは微妙な空気だけだった。

「まだ…終わらないんですか?」

 誰にともなく、つぶやく。すると、さっきまでうつむいていた叔母さんが、顔を上げる。

「そうね…お医者さんも、もしかしたら長引くかも、って言ってたけど…。祐樹くん、眠いなら、今のうちに寝ておきなさい。何かあったら、ちゃんと起こすから」

 俺に休むように指示する叔母さん。いかにも疲れ果てているといった様子の顔だったが、無理やり笑顔を浮かべる。それを見てて、どうにもいたたまれなくなる。

「…ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて、少しだけ」

 俺は、おとなしく叔母さんの提案を受け入れることにした。自分のことよりも、俺のことを心配してくれる叔母さんの気持ちを無碍にしたくなかったし、事実そろそろ限界だったからだ。

「わかったわ。じゃあ、看護師さんに毛布借りてくるから、ちょっとだけここで待ってて」

 そう言って、叔母さんはナースセンターへと歩いていく。そして、叔母さんが借りてきてくれた毛布に包まる。そして、一つの希望を胸に、俺は眠りについた。


 どうか、今までのことが夢でありますように……


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