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IRB~沈黙は金~

 こんばんは、管理人でござい。予約投稿のせいか、何だかんだで二日ぶりの挨拶になります。その間オフ会行ったり、コミケ行ったり、映画観に行ったりと、それなりに息抜きできたので、気力はかなり満ちてます。この調子で、続々と書いていきたいので、どうかお付き合いよろしくお願いします。

 今回はIRBの第3話。前回も言いましたが、やはり4話構成になってしまいましたwなので、妙なところで止まってるLetterの続きは、水曜日更新分からの再開になります。そして、それが終わったらようやくあっちの方が更新できそう・・・。まあ、あくまでも予定でしかないので、確定したらまた宣伝します。それでは、続きはこちらから↓


2‐1.
 事件が起こったのは、その日の放課後だった。授業を終え、俺は家へ帰るためにいつもの帰り道を歩いていた。

「にしても、やっぱ静かだな。いつもなら、それなりに賑わっているはずなのに」

 商店街を歩きながら、そんなことを呟く。本来ならば、この時間は夕飯の買い物に来ている主婦や、彼女たちが連れている子供たちでそれなりに賑わっているはずの商店街。しかし、現在は人影もまばらで、閉まっている店も少なからずある。特に、後者についてはここ一週間ほどでそのような状況に陥った店の方が多いと言えるだろう。例の法律の影響で客足が遠のき、このままだとやっていけないと判断を下したためである。その結果、商店街の景観もどこか寂しいものとなっている。

ガタッ!

 そんなことを考えていると、どこかから音が聞こえてくる。何かものを蹴ったかのような音である。ただ、その音はかなり小さく、気のせいじゃないかと断定することにした。

ガタッ!ガタタッ!!

 しかし、その瞬間再び音が聞こえてきた。先程よりも大きく、且つ激しい音である。もはや、気のせいだと断定するのは難しい。俺は立ち止り、辺りを見回す。この商店街は構造的に店同士の間隔が広く作られている。何でも、競合する相手があちらこちらにあるという致命的な欠陥があるため、基本的に店主同士の仲があまりよくはないのだ。故にそれなりに広い敷地内に展開されているにも関わらず、店舗数は少なくなっている。そして、店と店の間に出来ている空白の部分は基本的には裏道へと繋がっているのだが、そこを通る人はあまりいない。つまり、他の人に見つかることもほとんどなく、何か秘密のことをするのにもってこいな空間になっているのである。

 今俺の立っている場所の近くには、何カ所かそのような場所がある。声の聞こえ方からすると、おそらくそのどこかになるわけだが、それがどこであるかという決め手は現状不足していた。そのため、次に何かが聞こえてくるのを待つことにする。

「……~」

「…い、…ぐな…そっ!」

「…か!…せろ!!」

 程なくして、今度は声が聞こえてきた。まるで何かで口をふさがれた時のような声が一つ、そして怒声混じりの男性のものらしき声が二つ。距離があるせいか、何を言っているかは聞こえないが、少なくても穏やかな感じではないというのは確かである。

「しかも、最初に聞こえた声って…もしかして女の声じゃないか?」

 そこまで言ったところで、俺は先程の話を思い出す。それは今日の休み時間、沖浦が話していた話のことだ。


『今回の場合一番危ないのはいわゆる性犯罪と呼ばれる類のものだな』

 確かに彼の言う通りなのだ。例の法律の肝となっているのは、適応されるのが「女子限定」という部分。つまり、女性に対しては厄介なことこの上ないのだが、男性について言えばそこまで厄介ではないのだ。もちろん、下手に喋りまくって女性から睨まれることはあるだろうが、それさえ我慢すれば何のことはない。そして、その果てに待っているのは、完全なる「男性優位」の社会である。

 本来、日本という国は、男尊女卑という考え方が根付いており、完全なる男性優位の社会が平然とまかり通っている国だった。伝えられている歴史の裏では、男尊女卑を楯に、女性は様々な苦痛を強いられていたという話もある。その後、様々な活動を経て、ようやく女性にも権利が認められるようになったが、その体制になったのはほんの数十年前。脈々と息づいてきた男尊女卑という考え方と比べれば、実に脆弱なものである。要するに、この国には潜在的にそういった考え方を持っている人間が少なくないということになる。そして、そういった考え方の元で、一般的に力が勝るとされている男性が、一般的に男性よりも力が劣るとされる女性にすることと言えば、自ずと答えが出る。

「で、でもどうすれば…。周りに人はほとんどいないし、何か武器になりそうなものは…」

 僕は周囲を見回す。あいにく、この周辺の店はほとんどシャッターが閉まっていた。開いている店を探すにしても、さっきまで歩いていた道の途中にあった道までも少し距離があるし、ざっと見た限りここから先開いていると思われる店までもそれなりに距離がある。戻ってくるまでの間に手遅れになる可能性はなくもない。結局、俺一人で対処するしかないのだが、残念なことに武器になりそうなものは何も持っていない。ポケットの中に入れている財布と携帯電話、鞄の中に入っている教科書数冊とノート数冊、それと筆箱、持ち物はこれで全部だ。

「つか、これでどうしろと?これだったら、近くの交番に飛び込んだ方がまだましだろ。でも、そんなことしてたら…って、そうか」 

 そんなことを口にしていると、一つ考えが浮かんだ。ただ、明らかに古典的な手段であり、正直成功するとは思えない。ただ、時間がない以上、これ以上のことを考える余裕もない。

「幸い居場所の目星は付いてるけど、本当に大丈夫なのだろうか?」

 軽く自問自答したところで、俺は腹を決め、音がしたと思われる裏道へと足を踏み入れた。

「にしても、暗いなここ。確かに隠れて何かやるにはもってこいだ」

 最初に飛び込んできたのは、日の光がほとんど差さない薄暗い景色。目が慣れてくると、若干鮮明に見えてくるが、それでもやや薄暗い。もっとも、先を進むには充分な明るさでもある。そして、先を進んでいくと、再び声が聞こえてくる。

「…ん!んー!!」

「てめぇ…いい加減大人しくしやがれ!この顔に瑕の一つでも付いたらどうしてくれるんだよ!!」

「いや、お前のは別にそこまででもないだろ。それよりも…早くやっちまおうぜ!せっかくの上玉だ」

 今度は鮮明に聞こえてきた。どうやら、先程聞いた三人のもので間違いないようである。姿こそまだ見えてこないが、距離はそう遠くないだろう。会話の内容から推測するに、とりあえず間にあったと言えるだろう。しかし、状況としては予断を許さないものであろう。故に、俺は走り出し、声を張り上げて叫んだ。

「お巡りさん!こっちです!!こっちで男性二人が女性に乱暴を…」

 わざとらしく、近所に知らせるかのごとく叫ぶ。当然、警官なんてその場にいない。最終的に、その場にいると思わせればそれでいいのだ。そして、効果は覿面だった。

「うお、サツかよ!しかも、俺たちがここに連れ込んだ現場を誰かに見られてたっぽいし!」

「くそ、だから言ったんだ!お前の考えなんて、穴だらけだって!!」

 うろたえた声で口論を始める二人組。こうなってしまえば、もう止められない。二人の口論はヒートアップするだけである。

「あーもう!やめだやめ!俺はここで降りさせてもらうぜ!」

「何言ってるんだよ。ここまでやった時点で、お前ももう共犯だ!それに、俺がパクられたら、お前の方も足がついて、どちらもおしまいだ!!」

「じゃあどうすれば…」

「とりあえず逃げるぞ!!細かい話は後回しだ!」

 その言葉を最後に、会話は途切れる。おそらく言葉の通り、逃走したのだろう。幸いなことに、、この道の先を行けば商店街とは別の通りに出ることができる。なので、彼らと顔を合わせることない。

 裏道のちょうど真ん中あたりまで走っていくと、何やら変なものを見つける。それは、黒い何かの塊のようで、なおかつ動いている。僕が近づくと、それは後退していく。と、ここで俺はその正体にようやく思い至る。

「大丈夫、何もしないから」

「…」

 黒い塊の動きが止まる。そして、その黒い塊から視線が注がれる。

「そんなに警戒しなくていい。君に危害を加えようとした二人組は多分戻ってこないし、俺も君に危害を加える気はない。だから、逃げないで欲しい」

 そこまで言ったところで、さらに距離を縮めていく。その間、黒い塊も動かないでいた。やがて、お互いがようやく視認できる距離まで近づくと、予想していた通りの答えが待っていた。

「やっぱりか。つか、その制服…うちの学校の生徒か?」

 黒い塊の正体、それは被害にあっていた女性だった。ただ、綺麗にセットされていたであろう髪形はぐしゃぐしゃ、服の方も着崩したというのも限度があるくらいに乱れきっている。特に、ワイシャツは、一部強引に破られた形跡さえ見受けられる。そして、極めつけに口元にはガムテープが貼られていた。よもや、この状況一つ取って「乱暴されていた現場」と以外考えられない、そんな有り様である。しかも、驚いたことにどうやらうちの学校の生徒と来てる。これはさすがに予想外だった。

「とりあえず…ガムテープを剥がすか。つか、君縛られたりとかはされてないのか」

 彼女の手首に縛られたような跡は見受けられない。つまりは、これが突発的かつ短時間の間に行われたことを示している。ただ、それでも彼女が自分から外す様子はなかったため、こちらでガムテープを剥がしてやった。触れた瞬間、彼女の身体が震えていたが、あえて気にせずにゆっくりと剥がしていく。

「…ぁ」

 ガムテープを剥がし終えた瞬間、彼女の声が一瞬だけ漏れてくる。その声色に、ほんの少し違和感を覚える。正確に言えば、どこか聞き覚えのある声のように思えた。そんなことを考えていると、彼女は近くに落ちていた鞄からスケッチブックとペンを取り出し、何かを書き始める。

『何で助けた…加藤』

「何でってそりゃ…つか、何で俺の名前を」

 彼女は一枚ページをめくり、そこに再び文字を書いていく。

『クラスメイト…ましてや隣の席の人間の名前くらい、知っていて当然』

「同じクラス!しかも隣の席って…ひょっとして坂本なのか?」

 彼女は小さく頷く。確かに良く見ると、それは坂本だった。ただし、乱れ切った衣服や、ぼさぼさになった髪形など、いつものイメージとかけ離れており、同一人物とは思えなかった。何よりも、彼女のこのような表情‐何かに怯えるような表情 などは見たことがない。

「マジかよ…。何でこんなことに」

 俺は彼女に尋ねる。すると、すでに書いてあったのであろう、スケッチブックの別のページを開き、それを掲げていた。

『私の質問の方が先!』

「そりゃごもっとも。そんなの、人としては当然じゃないのか?」

 彼女は素早く筆を走らせ、再び掲げる。

『そんなことはない。少なくても、私を……乱暴しようとした人たちは』

 彼女は暗い顔をする。その表情は近頃教室で見せるげんなりした顔や牙をむくような顔、先程までの怯えるような表情とは違う、いわば彼女の絶望を現しているかのようだった。そんな彼女に掛ける言葉は、残念ながら見つからなかった。すると、しばらくして彼女は新しいページをめくり、そこにペンを走らせる。

『あの人たちは…ここらへん一帯を取り仕切ってるチンピラなの』

「何の…話だ?」

 突然の話に対し、俺は彼女に問いかける。すると、彼女は文字の下に新しく文字を追加する。

『さっき逃げたあの二人組のこと。あの時、あの人たちは例の法律のせいで少々苛立っていた。何でも、商売が上がったりだとか、赤字がどうのとか、そんなことを言っていた気がする』

「まあ、確かにあの惨状を見れば、そうも言いたくなるわな」

 その言葉と共に、表の商店街の様子を頭に浮かべる。人通りが減り、活気がなくなった通り、シャッターが閉まっている店の方が多いという現状。この事実からして、どうあがいても繁盛しているとは言い難い。

『しかも、あの人たちについてはあまりいい噂を聞かないの。だから、いつか言い負かしてやろうなんて考えてたんだけど、さっき通りがかりにたまたま出会って…』

「それで、この有り様と」

 彼女は頷く。その時のことを思い出したのか、彼女は再び怯えたような表情を浮かべている。

「つまり、勝手に手を出して、返り討ちにあったってことかよ。いくらなんでも、無茶苦茶すぎるぜ…」

 彼女は何も答えない。ただ、今になって自分がやった行動に気付いたのか、表情は青ざめていた。

「つか、どうしてそんなアホみたいなやってんだよ。何か理由でもあるのか?」

 彼女は震えた手でスケッチブックのページをめくる。そして、すでに書いてあるページを表に、その場に掲げる。

『自分の正しいと思ったことをやる。それが私の正義だから』

 正義と言う言葉とは裏腹に、彼女の手は震えていた。いや、それどころか全身が震えている。あれだけのことがあったのだ、当然だろう。しかし、彼女が掲げた言葉はまるで自分を奮い立たせようという、そんな響きにさえ思えてくる。それを見て、俺は思わずため息を漏らす。

『なぜ溜息をもらす?』

 彼女が一枚ページをめくると、そのような言葉があった。一体、そのスケッチブックには何が書かれてきたのか、激しく突っ込みたい。が、別に今でなくてもそれは問題ない。むしろ、問題はここからどうするかということである。

「いや別に…。それより、お前はどうするんだ?」

『どう…とは?』

「警察に届けを出した方がいいだろ。それに、その服で街中歩くわけにも…」

 その言葉を聞いて、彼女はようやく自分の恰好に気付いた。乱れに乱れまくったスカートに、強引にボタンを引きちぎられたせいか、微妙に下着が見えているワイシャツ。前者はともかくとして、後者はさすがにまずい。彼女も同じことを思ったのか、ものすごい勢いでスカートを直していく。その一方で、片手で胸元を隠すという、何とも器用な芸当をやってのけている。その間、彼女は普段見せるような不機嫌オーラをまき散らしていた。

「これだけ元気なら、もう大丈夫か。んじゃあ、俺はここで…」

 そう言って、来た道を戻ろうとしたところで、右手袖に負荷がかかる。振り向くと、そこには服装を整えて立ちあがった彼女の姿があった。

『制服の上着…貸して?』

 彼女の掲げたスケッチブックにはそのようなことが書いてあった。なるほど、整えたとは言え、ワイシャツのボタンばかりはどうにもならない。ブレザーでも着ていれば話は別だが、今の時期は丁度衣替えの移行期間ということもあり、彼女はブレザーを着ていなかった。それに対し、俺はブレザーを着ている。なので、俺は着ていたブレザーを脱ぎ、彼女に差し出した。

『やっぱり大きい…』

「そりゃ男子用だしな。女子にはさすがにでかいだろう。んじゃあ…」

 来た道を戻ろうと一歩踏み出すと、またしても負荷がかかる。しかも、今度は首元。

「今度は…なんだ?」

 首だけを動かすと、妙に笑顔の彼女がいた。ただ、本当の意味で笑っているわけではなく、「邪悪な」という形容詞が付きそうな、そんな笑顔だった。そして、彼女は例のごとくスケッチブックを掲げた。

『こういった場合、男子が女子を送っていくのが礼儀。拒否権はなし』

 そんな脅迫めいた彼女の言葉に、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
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