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Letter Part9

 こんばんは、管理人です。Twitterで仕事先の愚痴を呟きまくったせいで、個人がどこまで特定されるのかが気が気じゃないレベルでチキンですwまあ、特に個人名を出してどうこうと言うわけじゃないですし、まだセーフだと思うことにしますw

 今回はLetterの9話になります。そろそろ核心に触れるかなという頃ですが、果たして・・・(笑 ↓


*      *

「……はい」

 目の前のドアが開く音がする。中からは、パジャマ姿の少年が出てくる。それを俺たち二人は笑顔で迎えた。

「よお、ひでお。遊びに来たぜ…って、痛っ!!」

 涙目で隣にいる少女を見る。少女は、先ほど振りかざしたであろう右手を抑えながら、こちらを見ていた。

「こら!ひでおが調子悪いの、あんただって知ってるでしょ。私たちはお見舞いに来たんでしょ」

 ほら、と言いながら彼女は、手を翻す。

「わ、分かってるけどさ。だからって、いきなり殴らなくても、って、痛っ!また殴らないでよ」

 二発目の攻撃で、俺はもう泣く寸前だった。一方の彼女の方は、まだ気が済まないようで、こちらを睨んでいる。

「しつれいね、殴ったんじゃなくて、チョップしただけよ。ほら、男の子が泣かないの」

 そう言いながら、彼女は俺に手を伸ばす。

「………ぷっ!」

 そんな俺たち二人のやり取りを見ていた少年はもう我慢できないといった様子で、おなかを抱えて笑い始めた。俺たちは顔を見合せて、そのまま彼につられるように笑った。


 これは、昨日の夢の続き。そして、同時に楽しかったあの日の記憶のかけら。

 あの日以来、俺、芽衣、そして英雄の三人は一緒につるんで遊ぶようになった。俺と芽衣は家が近所で、同じ幼稚園に通う、いわゆる幼馴染という奴だった。そして、あの日、英雄が加わり、俺たちは二人から三人になった。英雄は俺たちの家の近所に住んでいたが、あいにく幼稚園は別々だった。本来なら、出会う機会はなかった。あの日彼が俺たちに声を掛けてくれなければ、出会うことはなかった、あるいは出会っていても友だちにはなってなかったと思う。

 健二は体があまり丈夫ではなかった。一日中外で走り回ることもあったが、その次の日は、決まって学校を休んでいた。そういうときは、俺と芽衣が英雄の家にお見舞いに行った。今見ている夢の光景も、まさにそんな日の一幕だった。学校帰りに2人で英雄の家に行って、英雄の顔を一目見て、そのまま家に帰る、それがいつものパターンだった。もちろん、俺も芽衣も英雄と一緒に遊びたかった。しかし、一度無理に誘ってしまったとき、英雄は2週間近く寝込んだ。それ以来、俺たちはそうするようにした。英雄のいない日は寂しかった。そのかわりに、元気になったら、思いっきり遊ぶ。それが楽しみでもあった。とはいっても、英雄は体があまり強くなかったから、誰かの家で遊ぶことも珍しくなかった。時には、芽衣の家に行き、彼女の母親の長話を聞きながら、一緒におやつを食べたり、我が家で一日中コタツでゴロゴロしたり、英雄の家でただただおしゃべりをしているだけの日もあったが、俺たちはそれでも楽しかった。

 出会ったとき、英雄は有名な私立の幼稚園に通っていた。彼の母親は、俗にいう教育ママというわけではなかったが、彼の将来のことをいろいろ考えて、そこに通わせていたらしい。ところが、彼は付属の小学校に進まず、俺たちの通う公立の小学校へと進学した。その当時、英雄は体調を崩しがちで、電車を使わないと通えない所よりも、体調が悪くなったらすぐに帰ってこられる公立の方がいい、そう彼の母親が判断したためだった。また、これには英雄本人の希望と、英雄の母親の、俺たちに対する信頼も付加されていた。

 毎朝一緒に学校に行き、同じ教室で勉強し、一緒に給食を食べ、一緒に下校して、そして暗くなるまで一緒に遊ぶ。そんな当たり前の時間が楽しかった。こんな楽しい日々がずっと続いていく、そのころの俺はそう信じていた。だけど、そんな日々は、ある日唐突に終わりを告げた。他でもない、俺のせいで。



「……うっ」

 健二が目を開けると、カーテンの間から漏れてきた日の光が飛び込んできた。まぶしさのあまり、健二は再び目を閉じてしまう。体を少し動かしてから、健二は再び目を開いた。そのまま、体を起こし、少しづつ目を慣らしていく。そして、枕元にあった携帯電話を取り、時間を確認する。9:30 普段なら間違いなく遅刻の時間だが、幸い今日は祝日だったので支障は無かった。ついでに、昨日のメールを確認する。約束は午後からなので、まだ比較的余裕がある。

「そういや、結局あいつのことわからなかったな……」

 健二は一つため息をつく。あのあと、彼は母親に聞いてみたわけだが、結局はっきりしたことは分からなかった。彼が母親の実家のある田舎町に引っ越したこと、それ以外は分からなかった。詳しい住所も連絡先も分からない。加えて、もう一つ気になることがあった。健二の母親の様子が少しおかしかったことである。彼女は基本的に必要なことは言い、逆に言いたくないこと、あるいは余分なことはあまり言わない性格だった。健二がその話を切り出した時、彼女は明らかに様子がおかしかった。もちろん、うまく取り繕って傍目にはわからないが、健二はどうも歯切れが悪いというのをどことなく感じていた。しかし、彼はどうすることも無く、それ以上のことは聞くことができなかった。

「とりあえず、芽衣にも聞いてみるか…」

 健二は、ベッドから立ち上がり、そのまま箪笥へと歩き出し、箪笥の引き出しを開けて、着替えを取り出した。すると、箪笥の横にはヒロが座っていた。健二のことを観察している以上、健二の部屋に彼がいることは特に不思議は無い。しかし、箪笥の位置というのはベッドから見てほぼ真正面であり、彼はそこに門番のように座っていた。

「……ふん、何の用だ」

 ベッドのほうを見つめていたヒロが、健二のほうを向く。寝起きのせいか、機嫌が悪そうだった。

「……ッ!」

 健二は何も言わない、否、言えなかった。彼の目つきにビビったのもあるが、それ以上に何か別のものを感じたからだ。何かはわからないが、少なくとも憎しみとか、そういった負の感情ではない何かだった。

「…用がないなら、わざわざこちらを向くな、ふん」

 そう言って、彼は再びベッドのほうへ顔を戻した。健二も気を取り直して、着替えを始める。着替えが終わって、ふとヒロのいたほうに目をやると、ヒロの姿は無かった。いつものように存在を消しているんだろう、深くは考えず、健二は部屋を後にする。


 洗面所で顔を洗い、居間に行くと、健二の妹が朝食を食べていた。健二は、妹に軽く挨拶して適当な席につく。席に座ると、片手で、テーブルの上に裏返しに置いてあるマグカップを一つ取り、もう片方の手でティーポットを取る。そして、マグカップに、ティーポットの中身を注ぐ。器に注ぐと、いい香りがして、少し寝ぼけていた頭が覚醒していくようだった。

「ちょっと、兄さん。それ淹れたの私なんだから、勝手に飲まないでよ」

 彼の妹が、不機嫌そうな声でそう言った。健二がそちらを向くと、妹は少し怒ったような顔をしていた。

「あ~、その、悪かったな。つい、な。このとおり」

 健二は、彼女に向かって手を合わせて、頭を下げた。すると、彼女はひとつため息をついて、彼の方を向いた。

「まあ、いいよ。どうせ、いつものことだし。それよりも、どうしたの?今日は休日なのに、起きるの早いよね?」

 彼女が疑問を投げかける。さっきまでの手前、健二は素直に答えることにした。

「ちょうど目が覚めただけだ。それに、あとでちょっと用事があるから、ちょうどよかったし…….」

 そこまで言ったところで、健二は彼女の方に目をやると、彼女はニヤニヤと健二を見ていた。

「…何で笑ってるんだ、お前は」

 一口紅茶に口をつけながら、健二が尋ねると、彼女はニヤニヤしたまま答える。

「ん、別に~。兄さんにとうとう春がやってきたとか、そんなことは全く思ってないから気にしないでね~」

「な゛っ……ゴホッ、ゴホッ!!」

 彼女の言葉を聞いて、健二は思わずむせこんでしまった。飲んでいた紅茶が、気管に入ったようだ。

「あれあれ~、いきなりむせちゃって大丈夫~?もしかして、図星だったかな~?」

 彼女は依然ニヤニヤしながら、健二の顔を覗き込んだ。

「ゴホッ、大丈夫だ、ゴホッ。それより、何言ってるんだよ、お前」

 そう言いながら、彼は妹を引きはがす。すると、彼女はムッとした顔で彼のことを見る。

「ちょっと~、人がせっかく心配してるのに、その態度はないんじゃないかな」

「あのなぁ、そうなった原因を作ったやつが言うセリフじゃないと思うぞ、そう言うのは」

「何~、図星を突かれたから、今度は逆ギレ?そんなんだと、彼女さんに嫌われるよ」

「だから、違うって言ってんだろ。そんなのいるわけないだろ」

 健二は、怒鳴るように言った。すると、さっきまでムッとしていた妹の顔が、何かを考えるような表情になった。

「う~ん、それもそうだね。ていうか、彼女なんか出来た日には、兄さん顔に出まくりだろうから、すぐに分かるしね」

 彼女は、こともなさげに言った。健二は、いくらか複雑な気分だったが、気にしないことにした。

「ちょっと聞き捨てならない一言があった気もするが、それは置いといてやる。ところで母さんたちは?」

 健二は、紅茶を飲みながら、そう尋ねる。

「お母さんなら、今日はお仕事だってよ。お父さんは、釣りに出かけたよ」

「父さんてば、また釣りに行ったのか。どうせ、釣れなくて、近所の魚屋で魚を買ってくるだけだって言うのに」

 健二は、呆れたように言う。

「まあまあ、あれだってお父さんの数少ない趣味の一つなんだし。私たちがとやかく言うことじゃないよ」

 彼女は、そんな彼をなだめるように言った。

「でもさ、自分で釣ったわけでもないのに、あたかも自分で釣ったような顔をして、自慢話を捏造するのもどうかと思うぞ。あそこまでバレバレだと、無理に合わせるこちらがつらいしな」

「ははは、それもそうだね。でも、数少ない趣味を取り上げちゃうと、お父さん休日になるたびに兄さんを連れ出そうとするけど、それでもいいの?」

「…それは勘弁だな。しばらく父さんには趣味の釣りに勤しんでもらおう」

 彼女の冗談めかした発言に対して、健二は少し慌て気味で言った。すると、妹は右隣に置いてあるバッグを手に取る。

「まあ、そんなわけだから、二人とも家にはいないよ。私ももう出かけるから、出かける時の戸締りよろしく~」

 彼女は、カバンを持って立ち上がる。

「了解。夕食までには帰ってこいよな」

 健二は、リビングを去っていく彼女の背に、そう投げかけた。すると、ヒラヒラのついたミニスカートを翻して、彼女がこちらを向いた。

「は~い。兄さんも、デート頑張ってね」

 彼女は笑顔を浮かべて、今度こそリビングを出ていった。健二は何か言おうとしたが、すぐに玄関のドアがしまる音が聞こえてきた。

「ったく、だからデートじゃないって……」

 健二は、ぬるくなった紅茶を一気に飲み干した。

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