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Letter Part1

 こんばんは、管理人です。先日の予告通り、今回からは以前別ブログに載せた作品の再アップになります。色々と言わないといけないことはありますが、ふがいないことばっかやらかして本当にすいませんwひとまず、作品自体は書き進めてるのでどうかご勘弁を!

 そんなわけで、Letterの第1話をどうぞ↓




 真っ暗な部屋。

 前方のスクリーンの光のみがこの部屋を照らしだす。

 この部屋にいるのはこの部屋の主たる人物ただ一人。その人物は暗い部屋の中、スクリーンの正面のデスクに座り、キーボードを叩きつつ、スクリーンに映し出される映像を見ていた。

 スクリーンには小学生くらいの少年少女三人組が映し出されていた。彼らは仲睦まじい様子で並んで歩き、談笑し、笑い合っていた。そして、スクリーンはその真ん中に位置する少年だけを映し出した。そして、画面には彼の個人情報と謎の数値が現れた。

「ふむ、彼が、ね」

 画面を見つめる人物は、キーボードの手を休めて、画面を見つめる。そして、メガネをずらし、何事もなかったかのように画面から視線を外し、再び作業に戻った。画面に映った謎の数値はしばらくすると一つだけ減っていた。


 ごく普通のありふれた土手、横にはウェアを着こんで走っている男性や、はたまた習慣とばかりに犬の散歩をしている老人の姿が目に留まる。そんな土手を、清水健二は歩いていた。この近くにある高校の制服を着て、手には学校指定の通学カバンをぶら下げている、どこからどう見ても普通の高校生である。

 しかし、ある一つの条件を付け加えると、少々普通とは違ったものに見えた。

 周りには先ほど言ったとおり、老人やランニングをしている男性のほか、サンバイザーをつけた女性や、あとはママチャリに乗っている主婦らしき女性の姿くらいしか見られない。彼と同じ学校の制服を着込んだ生徒たちの姿は、どこにも見られなかった。それもそのはずである。時計を見ると、時刻はすでに十時を回ったところである。無論、今日は休日ではなく、木曜日、つまりバリバリの平日である。

「はぁ、かったりぃ」

 健二はめんどくさそうに頭をひと掻きした。彼は、制服こそ着ているものの、一向に学校に向かう気配はない。そして、そのまま土手に座ろうとした。

「ねえ、彼が今回の仕事の対象者?」

 土手に座ろうと、膝を曲げ、姿勢を低くしたところで声が聞こえた。小さな男の子の声だった。健二は不思議に思った。本当ならば、特段気にするものでもないはずなのに、気になって声のした方向を向く。そこには誰もいなかった。念のため、あたりを見渡したが、いるのは自転車に乗った主婦くらいのもので、男の子の姿はなかった。そのことが気にはなったが、気のせいだろうと結論付ける。

「ええ、彼で間違いないです」

 また声が聞こえた。今度は若い男の声だった。今度は恐る恐る声のした方向を向く。すると、今度は道の真ん中で誰かが立っていた。二人組だった。一人は健二と同じくらいの身長の若い男、もう一人は男よりもかなり小さい、大きい目が特徴的な小学生くらいの男の子だった。

 特徴的なのは二人の服装である。男の子の方は、女子が着るセーラー服のような上着に丈の短いズボンをはいている。その上に、マントのようなものを羽織り、帽子をかぶるという、おかしな格好だった。若い男は、黒いスーツに身を包み、あとは男の子と同じようにマントと帽子を身につけている。そして、何よりも特徴的だったのは二人とも身の丈ほど、あるいは身の丈以上の大きさの杖を左手に携えていた。

「……」

 健二は言葉が出なかった。目の前に立っている二人組のアンバランスがどうとか、それもいくらかあるが、もっと別のことに驚いている。誰も気づいてないのだ。こんな道のど真ん中に立っているのに。二人の立っている位置を考えると、自転車に乗っていようが歩いていようが、どちらにしても彼らは邪魔になるはずだった。なのに、道行く人たちは何も声もかけずに、鈴を鳴らすことさえなく彼らのすぐ横を通り過ぎる。中には、ものすごいスピードで横を通り過ぎていく自転車もあった。何なのだ?彼らに気付いてさえいない、そんな風にしか見えなかった。

「ねえ、ヒロ。本当に彼なの?なんだか、ものすっごくバカっぽい顔だし、ボクイライラするんだけど」

 男の子は、幼さの残る声で、大胆な発言をする。

「…ええ、彼で間違いないです、何度も言わせないでください。それと、口が悪いです!」

 ヒロと呼ばれた若い男が答える。男の子の方は、ハイハイわかりましたよ~、とかなりいい加減な感じで謝る。健二は正直、謝る相手が違うだろ、と突っ込みを入れたかったが、どうにかこらえた。

「……お前ら、いったい誰なんだ」

 健二はやっとのことで質問する。驚きのせいもあるが、何よりも、話に置いてけぼりにされて、入り込めなかったからである。

「…どこにでもいる、ただの郵便屋だ。一応確認しておくが、お前は清水健二で間違いないな?」

 嘘だ!!

「いや、そんな恰好をして、尚且つ口の悪い郵便屋とかいねえだろ。てか、どうして子連れ?」

 今までは完全にスルーしていたが、さすがに我慢できなくなり、思わず突っ込みを入れる健二。すると、ヒロの目つきが心なしかきつくなる。

「…いいから質問に答えろ。お前は清水健二か?」

 その目つきは、まるで餌を喰らいながらも、周りに目を光らせている肉食獣のようだった。さすがに健二は恐怖を覚えて、素直に答えることにした。

「…あ、ああ。その通りだ」

 健二は気圧されていることを悟られないように、必死で虚勢を張るが、一瞬つかえてしまう。

「……そうか。なら、お前に渡すものがある」

 ヒロは目つきを緩めたものの、それでも子供が見たら泣き出しそうなくらいの厳しい目つきで、そう言い放った。

「…わ、渡すもの?」

 厳しい目つきに圧され、健二は一瞬息が詰まった。しかし、それでもどうにかこの一言だけ絞り出した。

「ふん、そうだ。お前宛に手紙を預かっている」

 ヒロは相変わらず不機嫌な声で、そう答えた。

 その一方で、健二は戸惑っていた。ヒロの鋭く、冷たい視線に恐怖を覚えたのも確かにある。しかし、それよりも今この状態に違和感を覚えていた。先ほどと同様、依然道のど真ん中に立っている二人。そんな二人を、周りの人たちが気にしている様子はない。しかも、あたりを見回すと、なぜかひそひそ声が聞こえる。しかも、目線はなぜか健二の方をちらちら見ていた。

「あの子、一人で何言っているのかしら」

 そんな声が聞こえ、困惑する健二。しかし、彼はあたかも冷静であるように振舞う。

「手紙?誰からだ?」

 健二は尋ねる。ただし、彼らに一歩近づき、ひそひそと彼らにだけ聞こえるような声で、である。

「差出人は、中村英雄。ただし、これを渡すのには条件がある。一つ目は…」

「ちょっと待ってくれ!!」

 健二はよどみなく語り続けようとするヒロに対して、待ったをかける。

「とりあえず、差出人はわかった。だけど、できれば順を追って説明しろ。話が見えない!」

 健二がそう言うと、ヒロは彼のことを睨みつけるが、数秒間をおいて、頷く。そして再び不機嫌そうな声で、話を続ける。

「…一つ目の条件は、この手紙の存在を井川芽衣に伝え、彼女と立会いのもと受け取り、以後二人で共有することだ」

 健二は、驚きのあまり声が出なかった。彼が何を言っているかは分かる。しかし、彼は頷くことができなかった。なぜ彼女なのか、その理由に心当たりはあった。なぜなら、彼女は関係者だからである。しかし、頭ではわかっていても、彼は頷くことはできない。どんな顔をして、彼女に会えばいいか分からなかった。

「そして、二つ目。今のお前に、この手紙を受け取るに値するか、つまり、俺が「渡す」に値する人物かどうか見極めさせてもらう」

「……」

 またしても健二は声が出なかった。いきなり、手紙を渡しにきた、と変な人物があらわれ、それに値するか見極めるなどと言われれば、当然のリアクションである。それよりも、一つだけ、彼には気になったことがあった。

「見極めるって、何をするつもりだ?」

 そう、そのことを彼は気にした。何を要求されるのか、それとも何を強要されるのか、考えるだけでも恐ろしかった。

「ふん、しばらくお前を観察させてもらうだけだ。別に取って食おうなんて、そんな気はない」

 彼はそう答えた。とりあえず、身の危険はなさそうだ、と言わんばかりに健二は少し安心した様子を見せた。

「それよりも、お前いい加減に気付いているよな?」

 彼の隣にいる男の子が、偉そうな態度でそう尋ねる。不意を突かれた健二は、すぐに返事をすることができず、固まっていた。

「…何の話だ?」

 健二はどうにか言葉を絞り出す。実際のところ、彼には心当たりがあった。しかし、それを口に出す気にはならなかった。

「ふん、気付いているだろ。周りの人間には、ボクたちの姿が見えてない、てこと」

 男の子は、ヒロに目配せをしながら、そう言った。

 その通りだった。先ほどから、彼が感じていた違和感。道のど真ん中に立っているのに誰も気にも留めないこと、そして周りの人間からの健二に向けられる視線、まるで彼らには健二が独り言を言っているようにしか見えなかった。健二も、そんな周りの様子に気づいていた。周りからの視線が痛い、まるでかわいそうなものを見るような目で見られていたこと。健二は違和感に気づいてはいたが、確信にまでは至らなかった。

「俺たちはちょっと特殊でな。ちょうど、お前みたいなやつにだけにしか見えない、そんな存在だ」

 ヒロはそう説明した。当然健二には何が何だが良く分からなかったが、とりあえず彼らの姿が自分にだけ見えているらしい、ということは何となく理解していた。

「とりあえず、そういうわけだ。まあ、せいぜいがんばれ」

 そう言うと、帽子に指をあてるヒロ。そして、次の瞬間、隣に立っていた少年もろとも彼の姿は消えた。健二はあたりを見渡したが、彼らの姿を確認することはできなかった。

「何だったんだ、一体」

 健二はあっけにとられたが、まもなく思考を切り替え、そしてゆっくりと歩きだした。

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