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幼い約束 Part1


~Prologue~

夢。私は夢を見ている。なぜ、夢を見ているかわかるかと聞かれれば、それは何度も見た夢だからである。そう、それは少し悲しい、小さい頃の一場面。

「やだやだやだぁー。うわーーんっ!」

 大声で泣きわめく少女の姿がある。これは、小さい頃の私である。この時、私はどうしても認めたくない現実に直面していた。仲の良かった男の子がどこか遠いところに行くことになってしまったのだ。正直な話、その男の子と会ったのはつい最近であり、その子との思い出がそう多いわけではない。だけど、過ごした時間の長さだけが大切というわけではない。大切なのは、たとえ短い時間であっても、どれだけ大切な時間を過ごすことができたということである。そういった意味では、その子と過ごした時間と言うのはかけがえのないものであり、明日も明後日も、これからも続くものだと思っていただけにどうしても納得できなかった。

「ほら、最後くらいちゃんとお別れを言いなさい」

 隣にいたお母さんが、私にそう告げる。

「やだもんっ! せいちゃんといっしょにあそぶの!!」

しかし、私はお母さんの言葉を遮るように、地団駄を踏んで自分の言い分を通そうとする。もちろん、自分でもそれが間違えているというのは分かっていた。つらいのは自分だけじゃない、その子も同じだということに気が付いていたからだ。だけど、理屈でわかっていても、頭の中ではどこか納得できなかった。涙が止まらず、そのやりどころのない思いをぶつけていたに過ぎない。

「まったく…。困った子ね、ハァ」
 お母さんを始めとした、周りの大人たちが一様に溜息をつく。ここに来ているのは、私の両親と、島の港で働いているおじさんたち、そしてその子の両親とその子の妹である。その子の妹もまた、私と同様目に涙をため、別れ難そうな目でその子を見つめていた。その子と違い、彼女はこの島に残ることになっているからである。立場としては私とそう変わらないはずだが、彼女は必死に耐えようとしている。私よりも年下というのに、感心すると同時に自分のことが情けなくなった。駄々をこねて、周りのおじさんたちに迷惑をかけて、そんな自分が嫌になった。だけど、止めようと思っても、どうにも止めることができなかった。

「なかないで、あやちゃん」

「ふぇ?」

 その子が言葉にとっさに反応できず、間の抜けた返事になってしまった。その子は続ける。

「きっとまた、あやちゃんにあいにくるから。かえってくるから、なかないでよ」

「でもぉ…」

「あんまり、ないているとかえってこないぞ!」

「いやー!」

 それだけは絶対にいやだった。その子、せいちゃんに二度と会えなくなることだけはいやだ。そんなことを考えていると、せいちゃんは私の頭にぽん、と手を載せた。

「だったら、なかないで」

「ほんとぉ?ぐずっ、ほんとうに、かえって、くるぅ?」

「ああ、かえってくる」

 帰ってくる、その言葉が嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。

「じゃあ、なかないよ、あや! せいちゃんがかえってくるの、ずっとまってる!」

「うん、かえってきたら、いちばんにただいまっていうね」

「うんっ!やくそくだよぉ!」

 それは、幼いころに交わした小さな約束。だけど、私は約束通り、せいちゃんが戻ってくるのをずっと待ち続けている。あれから時間が経ってしまい、せいちゃんは私のことなんて忘れてしまっているかもしれない。それは少し悲しいことかもしれないけど、しょうがない。でも、もしも私のことを覚えているなら、あの日の約束を覚えているのならば…

「せいちゃんに、会いたいな」

 そのつぶやきと共に、私は現実へと引き戻される。



「おっはよー!」

 元気よくリビングに入ってくると、すでに家族が揃いつつあった。お母さんは、みんなの朝ごはんの準備、お父さんはすでに着替えを済ませ、臨戦態勢。そして、お兄ちゃんと弟の歩はお母さんの手伝いをしている。

「おう、朝から元気だな」

 私が来たことに気が付いたお父さんが声をかけてくる。そして、それに気が付いたお母さんたちも台所から顔を出す。

「おはよう、彩」

「相変わらず、テンション高いのな、お前」

「おはよう、姉ちゃん」

「うん!おはよう」

 そう言って、私も手伝いに加わる。すると、お母さんが待ったをかける。

「ここはいいから、彩は香を起こしてくれるかしら。あの子、まだ寝てるみたいだから」

「あー、あの子朝弱いしね」

 香というのは、私の妹だ。まだ小学生なのに、ちょっとませていて、少し生意気だ。加えて、どこか私のことを馬鹿にしている節があるので、少し気が進まない。

「ん?どうしたの、彩?」

 黙りこくっていた私を心配してか、顔を覗き込んでくるお母さん。私はあわてて返事をする。

「う、ううん。なんでもない!それじゃ、香を起こしてくるね」

 そう言い残して、台所を後にしようとする。すると、お母さんは何かを思い出したかのように、再び私を呼びとめる。

「あ、そういえば彩。昨日、美琴ちゃんから聞いたんだけど、ビックニュース!」

「ん??みこっちゃんがどったの?」

 みこっちゃんこと伊藤美琴ちゃんは、うちの近所に住んでいる女の子の名前である。元々は四人家族だったけど、身体の都合で現在はお父さんと二人暮らしである。もっとも、彼女の父親はこの島にある海洋資源研究所に勤める科学者であり、多忙のためほとんど家に帰ってこない。そのため、実質一人暮らしになっている。ただ、彼女は身体が弱く、季節の変わり目など気温の変化が極端なときなどは、しばしば体調を崩す。そのため、時折こちらから様子を見に行ったり、うちで一緒にご飯を食べたりと、家族ぐるみの付き合いがある。折に触れて、彼女は申し訳なさそうな顔をみせることがある。自分の身体が弱いことに引け目を感じているようだが、私からすればそういうのを含めてみこっちゃんなのだから、もう少し甘えて欲しいというのが本音だ。

「ううん、美琴ちゃん自身じゃなくて。なんと、誠悟くんが帰ってくるんだって」

「え…ええっ!!」

「おい、彩!朝から大声出すな!ご近所に迷惑だろが!!」

「あわわわ、ご、ごめんなさい…」

 お父さんの声を聞いて、いくらか落ち着きは取り戻したが、心臓の鼓動は収まらない。

「お母さん!それ、本当なの??」

「ええ、美琴ちゃんが昨日、うれしそうにそう言ってたわ」

「いつ!いつ帰ってくるの??」

「あ、そういえば聞いてなかったわね…って、彩!」

 気が付くと、私は駆けだそうとしていた。飛び出す寸前で、お母さんが私の手を掴む。

「んー!離してよ」

「こんな朝っぱらから行ったら、向こうに迷惑でしょ!それに、もうすぐ朝ごはん出来るから、さっさと香を起こしてきてちょうだい。そして、一緒に朝ごはんを食べて、それからでも遅くないでしょ?」

「でも!!」

「文句ばっかり言ってると、朝ごはん抜きにするわよ?」

「きゃいん、きゃいん!!それだけは勘弁して~」

「だったら、さっさと香起こしてきてちょうだい。あまりぐずぐずしていると、お父さんご飯食べ損ねちゃうし」

「はーい」

 しぶしぶ了承し、今度こそ台所を後にする。そこから香の部屋へ向かう途中、先程お母さんから言われたことを思い出した。

「せいちゃん、帰ってくるんだ。ふふ、楽しみだな」

 いつもなら悲しい気持ちになるあの夢だけど、今日だけは感謝しないとね。


というわけで、こんばんは管理人です。ちょっとした実験も兼ねて、以前別のブログで載せた小説を再掲載させていただきました。ひとまず、こちらはこちらで全編載せるとして、当面は現在鋭意執筆中の作品とで並行してアップできたらなと考えています。出来れば、隔日ペースくらいで更新はしたいですが、保証はしないですwそんなわけで、これからもよろしくお願いします。
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