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こころのたび Part3

 こんばんは、管理人でござい。何か、最近持病のドライアイがますます悪化したような気がしてきました。もっとも、これだけ毎日PCに張り付いてたら当然っちゃ当然なわけですけどwというか、若干自重しろと言うことか・・・。


 今回の更新は、こころのたびの第3話(第4回目)。相変わらず進みは牛歩なのですが、どうにか終わりが見えてきたので、ぎりぎり間にあいそうで幸い。というか、別のやつも並行で進める予定なのに、そっちが完全放置になっとるがな・・・。それでは、追記部分からどぞ。
*           *

 全てを思い出した桜は、急いでその場を後にする。とは言っても、流れてきた映像とは違い、その行動は理性的だった。

 まずは、昇降口へ向かい、靴を履き替える。途中、階段を下る際に思わず躓きそうになったり、危うく他の生徒にぶつかりそうになったりもしたが、うまくバランスを取って全てを回避した。ただ、そこでもやはり彼女に話しかけようとする人物はいなかった。彼女が思いっきりぶつかりそうになった生徒ですら、彼女のことは一切気にしない様子で去っていく有り様であり、彼女が謝ったところで反応すら示さない。もっとも、彼女の推測が正しければ、その行動を取った理由は単純明快であるが。

 そして、昇降口で靴を履き替えた彼女は再び走りだす。下校時間から少し過ぎていることもあり、下校する生徒の数はまばらになっている。そんな生徒たちの脇をすり抜けるかのように、彼女は走る。

「ここ、よね、確か……」

 彼女が足を止めたのは、通学路の途中にある歩道橋のすぐ手前。記憶の中の彼女が最後に見た光景にして、彼女の意識が蘇ってきた場所である。

「そうよ、思えば変な話だった。あの時、私はどうしてここにいるか、良く分からなかった。部屋で寝ていた記憶はないし、お母さんたちとも話した記憶もなかった。そう、まるでここでずっと眠っていたかのように……」

「ようやく、思い出した?」

 不意に、別の声が桜の耳に届く。聞き覚えはない、しかしなぜだか心にすぅと入りこむような、不思議な声だった。

「だ、誰?どこにいるの?」

「ここよ。あなたの後ろ」

 桜が慌てて振り返ると、そこには一人の少女の姿があった。年は桜と同じくらいか、あるいはそれよりも少し下くらい。しかし、少女からは年齢以上の何かを感じさせる雰囲気が漂っていた。それは一方では神秘的なものを感じさせる何かであり、また一方では殺伐としたものを感じさせるものでもある。特に、後者については明白な理由がある。

「あなたが持ってるそれって……一体何?」

 桜は少女が持つ、ニビ色の棒のようなものを指さす。その棒はぱっと見ただの棒に見えるが、その先には三日月形の刃のようなものがくっついている。例えるならば、ファンタジーの世界に登場する死神の鎌に良く似ている。

「見ての通り、鎌だよ。というか、それ以外の何に見えるんだ、お前?」

 桜の質問に答えたのは、また別の声。目の前にいる少女のものとは明らかに違った、男の子のような声。しかし、その場にそんな声を発するような人物の姿はない。今この場にいるのは、桜と少女、それと少女の肩の上に乗っかってる黒猫だけ。桜でもなく、また少女でもないとすると、残る選択肢は一つしかない。しかし、そんなことはあり得ないと、桜は一瞬浮かび上がった答えを隅に追いやる。

「おい、人間!何かとてつもなく失礼なこと考えてないか?」

 再び声が聞こえてくる。今度はもはや間違いようがなかった。声を発してるのは、少女の肩に乗ってる黒猫だった。黒猫は不機嫌そうな表情を浮かべ、器用に口を動かしているのを彼女はばっちり見てしまった。

「ね、猫がしゃべった……?」

 桜は驚きが隠せないと言わんばかりに、一歩後ろに引いた。すると、黒猫は不機嫌そうな表情をますます険しくし、まるで睨みつけるように彼女のことを見た。

「失礼な人間だな、全く!それに、僕は猫じゃない!猫っぽいだけだ!!」

「ど、どこに違いが……」

「全然違うじゃないか!僕は由緒正しき仕え魔の一家アラーラ家の人間にして、学校をトップクラスの成績で卒業した……」

「こら、ダニエル!」

 延々と自分のことを語る黒猫―ダニエル がピシャリと大人しくなる。止めたのは、先程までずっと黙っていた少女。そんな少女に対し、ダニエルは反論する。

「で、でもモモ!あいつ、人間の癖に偉そうだし。それに、モモのことを変な目で見てるよ」

「それはしょうがないんじゃない?それに、私たちまだ自己紹介もしてないし」

「う……。そ、それはそうかもしれないけど。でも、僕はたとえ初対面の相手にしても、自分の立場を分からせるべきだと思ってその」

 ダニエルの声が段々小さくなる。どうやら、彼(?)は少女―モモ に弱いらしい。そして、モモはダニエルに対し、こう命じる。

「じゃあ、改めて自己紹介ってことで。ダニエル、いつものお願い」

 彼女の言葉に頷くと、ダニエルは背中から羽を展開する。それは、黒猫の毛の色とは違う赤い色。そして、広げた羽を何度かばたつかせて、モモの肩から離れると、右手で自らの尻尾を器用にキャッチする。右手で掴むと、今度は左手でも同様に掴み、最終的に彼の身体が円を描くような形になる。

 そして、モモはダニエルの身体が描く円の内側に手を入れる。どうやら、円の内側はどこか別のところと繋がってるらしく、モモの手は円の上の部分で消失したかのような形に見える。

 彼女が手を動かすのと連動するかのように、時折ダニエルはくすぐったそうな声を挙げている。その度に彼の胸元についている鈴がチリーンと音を鳴らす。その音に、桜は聞き覚えがあった。それは今日一日、事あるごとに聞こえていた音色と同じもの。彼女の中で、ほんの少し疑問が氷解した。

「あったあった」

 桜の思考が終わったタイミングで、モモはそう言い放つ。その手には、先程まではなかった小さなカードのようなものが握られており、それを掲げるようにして桜の前に突き出す。

「死神ナンバーAの10万飛んで100番。百々(モモ)って呼んで」

 言われて、桜は目の前に掲げられたカードを見る。すると、確かにモモの言う通りの情報がそこには記載されている。もっとも、あるのは顔写真と番号だけで、名前の欄は何も書いていない。おそらく、番号が100と100だから百々なのだろう。そして、桜はより重大なことに気付いた。

「あなたが、死神?じゃあ、私やっぱり……」

 桜の質問に対し、モモは何も答えない。桜はそれを肯定の意だと受け取る。

「というか、自分のことなのに覚えてないのか、お前?」

 ダニエルもまた、モモの言葉を裏付けるように言葉を重ねる。もはや、これ以上疑う余地はなくなった。そして、桜は半ば開き直った口調でこう切り返す。

「だって、死ぬつもりなんてなかったんだから!ただ、ちょっと『消えちゃいたい』って思っただけなのに……」

「世間では、それを『死ぬつもり』って言うんじゃないのか?それに、こんな状態になってからそんなことを考えるなんて、今更だしな」

 しかし、そんな桜の言葉にも、ダニエルは皮肉をこめて返す。言ってることはあながち間違っていないせいか、桜は何も言えない。代わりに、悔しそうな表情を浮かべ、ダニエルのことをじっと見つめる。

「ダニエル、あんまり苛めたらだめよ?」

 すると、そこにモモが割って入る。ダニエルはモモと桜の顔を交互に眺め、何やら苦悩を浮かべる。

「ほら、ダニエル。言うべきこと、あるよね?」

 モモは先程までと同じトーン、しかしどこか強さを感じさせるような声でダニエルに囁きかける。そして、ついに覚悟したのか、ダニエルは再び桜に向き直り、かすかに頭を下げた。

「……」

 何が起こったか分からない、と言わんばかりに桜は目をぱちくりさせる。だが、数秒たったところでようやくその意味が分かる。

「ひょっとして……謝ってるの?」

 桜は恐る恐る尋ねるが、答えはない。しかし、彼が不本意ながらそうしてると言うのは確かなようだった。事実、納得できないという具合に身体をふるふると震わせている。

「よく、できました」

 そう言って、モモはダニエルの頭に手をやる。すると、ダニエルの身体の震えが少しづつ収まり、やがて顔を上げる。ただし、顔にはやはりまだ釈然としないという表情が滲み出ていた。

「仲直りも済んだところだし、……行く?」

 不意に、モモは視線を桜に移す。桜は質問の意図が理解できず、尋ねる。

「行くって、どこに?」

 その質問に対し、モモは無言で人差し指を一本立てる。指差す先には何もなかった。いや、正確に言えば空があって、雲がある。ただし、何か特徴的なオブジェクトがあるわけではない。と、そこまで考えたところで、桜はモモの言葉の意図を理解し、慌てて言った。

「い、嫌だ!だって、私……まだ」

「往生際が悪いな、お前。そんなこと言ってたって、いつかは行かなきゃダメなんだぞ。別にそれが早いか遅いかの違いだろ?」

「じゃあせめて……せめてみんなにお別れを言わせて!」

 若干涙目になりながら、訴えかける桜。そんな彼女に対し、モモは意外な言葉を返した。

「うん。いいんじゃ、ないかな」

 こうして、桜はモモたちと出会った……。


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