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ホームアウェイホーム Part3

 こんばんは、管理人です。最近悩みが尽きなくて、地味に消耗してる気がします。そのせいで、他のことに影響が・・・。まあ、特に影響大なのはやる気的なものなので、何かきっかけがあれば持ち直す、はず!というわけで、「ホームアウェイホーム」第3話をお届けします。そろそろ本気出さないと(ボソ


3.
 学校へ向かうときに、商店街を通った。昔住んでいたときからあったものらしい。当然そのときのことは思い出せないのだが、どこか懐かしい気もする。あちこちでは客の呼び込みでにぎわっていた。商店街といえば、最近だとシャッターがしまっている店ばかりで、半ばゴーストタウンのような場所も多い。事実、前に住んでいた町もそんな感じだったが、この町の商店街は活気にあふれており、買い物客も多かった。

 そのとき、横から声をかけられた。

「あれ、もしかして祐介君じゃない?福山さんのところの」

 声をかけてきたのは40代前半くらいの女性だった。やや小太り気味だが、どこにでもいそうな普通の主婦といった感じの印象だが、優しそうな感じがした。

「ええ、まあ、そうですが。あの、あなたは?」

そう問い掛けると、女性は微笑みながら言った。

「やーねー、忘れちゃったの?松川よ、松川のおばさんよ。昔はよく遊びにきてたじゃないの。それにしても、大きくなったわねー。いつこっちに戻ってきたの?」

 ないはずの記憶を探ってみると、ふと頭の中にある記憶がよみがえる。女性についての記憶だった。

「あー、思い出しました。どうもお久しぶりです。お無沙汰しています」

 軽く失礼な言い方になってしまった。しかし、女性―松川のおばちゃん―は気にせずに続ける。

「本当に久しぶりねえ、祐介君たちが引っ越して以来だから、10年ぶりくらいかしら。大きくなったわねえ、うちの子と同い年だからもう高校生ね。それで、いつ戻ったの」

「つい昨日です。といっても、両親は仕事の都合でまだ到着していなくて。学校のこともあるので、僕だけ先に来たんです」
「ほぉ。じゃあ、家事とかどうしているの?一人でやっているの?」

「昨日来たばかりなので、まだ何かやったわけではないですけど、できる限り一人でやるつもりです。母さんたちからは、いざとなったら智秋さんを頼りなさいって言われてますが」

 そこまで言ったところで、松川のおばちゃんは俺に微笑み返す。

「へえ、えらいじゃない。うちのにもいくらか見習ってほしいものよ」

 やばい、これ以上は長くなる気がする。

「あの、これから少し用事があるので、ここで失礼します」

「あら、そう。じゃあ、困ったことがあったらいつでも言ってね」

 おばちゃんに別れを告げて、再び学校に向かうことにした。


「ふう、やっとついた」

 長い坂を上りきって、ようやく一息をつく。目の前には立派な門があり、「県立 雹雲高校」と書かれた表札がでかでかと掲げてあった。

「それにしても、だ」

 言いながら、俺は後ろを振り返る。目を向けた先には、長い長い坂道が続いていた。

「毎朝、これを上るとなると足が鍛えられそうだ」

 そんなのんきなことを、まるで他人事のように言ってみる。しかし、いざ上ってみるとそんな気楽なものではないというのは明らかである。

 この学校は、ちょうど山の上のほうに建っているらしく、この学校に通う生徒、及び教員は必然的に朝から山登りさせられることになる。しかも、自転車を使おうにもいささか斜面が急になっているため、かえってそちらのほうが疲れそうな気がする。実際、歩いて上っただけで、息が上がる始末である。

「さて、行くか」

 息を整えて、門をくぐる。

「さっそく剣道場に行きますか、と。その前に、どこにあるか調べないと」

 あたりを見回す。すると、向こうのほうに、掲示板のようなものが見える。さっそく近づくと、それは予想通り校内の地図だった。

「それにしても、何か妙に建物が多い気がするな」

 地図を見た最初の感想がそれだった。そう、ひたすらに建物が多いのだ。今立っている場所から見る限りでも、ビルのようなものから体育館の様な作りのものまで、多種多様に及んでいる。そして、その中にはどこぞのデザイナーズ物件のようなデザイン性が極限まで追求された、傍から見たら迷惑以外何物でもない建物がひとつあり、皮肉なことに地図にはそこが「剣道場」と記載されていた。

「……マジかよ……」

 とりあえず、位置関係と行き方だけを確認して、向かうことにした。


「とりあえず、一つだけ言わせてくれ…」

 誰に言うでもなく、単なる独り言なのだが、なぜか言わなきゃいけない、そんな気がした。

「どうして、こんなに入り組んでいるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 端的に言えば、俺は道に迷った。確かに、小さいころから街中で迷子になって、交番のお世話になることも少なくなかった。前に住んでいた場所では、小学校、中学校、高校が隣同士に建っており、少なくても部活の遠征で遠くに行くようなことがない限り、舞ったな事で道に迷うことは無かった。部活の遠征のときも、かなり慎重にしていたため、はぐれて別の場所に行くことは……ほとんど無かったと思う。

 しかし、今のこのざまは何だ?現に、道に迷っていて、途方にくれている俺がいる。それもこれも完全な油断のせいだ。昔住んでいた街だから、いくらなんでも簡単には迷わないだろうという油断、そしてあれだけ特徴的なデザインの建物だから、すぐに見つかるだろうという油断。実際問題、建物自体はすぐに見つかったのだが、近づこうとすると、そこには壁があり、引き返して別の道を行ってもまた壁、というようにまるで迷路のように入り組んでいたのだ。

「さて、どうするか……ん?」

 かかとのあたりに何かコツンとした感触がする。振り返り、下を見ると、そこには缶ジュースが転がっていた。しかも、よく見ると落ちていたのは足元の一つだけではなく、まるで道に迷わないように目印となるものを落とすかのごとく、ぽつぽつと落ちていた。

「何か、いやな予感が……」

 そう思いつつも、落ちている缶を追ってみる。

 缶は、間隔も数もばらばらで道に散乱していた。二・三個まるで突き刺さるかのように直立した場所もあれば、まったく落ちていない場所が数メートル続いたところもあった。落ちている缶を一つ一つ拾いながらたどっていく。中には、ホットの缶コーヒーから冷たい炭酸飲料やらバラエティに富んでいるが、どう考えても一人で持てる量ではないのは明らかだった。

 そんな感じで歩いていくと、前方に人影が見えた。この学校の生徒だろうか。しかし、それにしては背丈が小さく、少なくとも高校生に見えなかった。

彼とも、彼女とも知らぬ人物は足元がおぼつかない様子で歩いている。何かを運んでいるのは間違いなかった。

「んしょ、んしょ……」

 なんともありきたりな掛け声が聞こえる。これは間違いないだろうと思いつつも、お約束の行動をとることにした。

「あの、すいません」

「え、え、え、わぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 前を歩いている人物に声をかける。すると、やはりお約束の如く、甲高い声を上げて荷物を全て地面にぶちまけた。そして、その人物は屈んで荷物を拾い始めた。さすがに居たたまれなくなって、再び声をかける。

「あ、あのっ!!」

「ふぇ?ふぇぇぇっぇぇぇぇ!!」

 さっきよりも甲高い声。そして驚きのあまり再び取りこぼしてしまう。その上、その人物は驚きのあまり腰をぬかし、そのまま地面にへたり込んでしまった。

「だ、大丈夫?怪しい者じゃないから、ほら」

 言いながら、その人物の正面に回り込み、顔を覗き込んだ。覗き込んだ先には、今にも泣きそうな少女の顔があった。彼女は、小柄な体系で緑色のジャージを着ていた。ジャージの胸元に何か文字が書かれているようだが、ちょうど折り目が邪魔で見えない。少なくとも、この学校の指定のジャージではなかったので、他の学校の生徒だろうか、そんな風に思った。

「あのぅ、どうかしましたか?」

 冗長に解説していると、目の前の少女が不思議そうな顔をして尋ねてくる。

「あ、ごめんごめん。大丈夫だから」

 彼女があまりにも心配そうに見つめるので、ひとまずそう言っておく。

「それでさ、これ君のだよね?後ろにたくさん落ちてたんだけど…」

 言いながら、抱えてある大量の缶を差し出す。

「え、え、あ~~!すいません、ありがとうございます」

 彼女は、一般人なら軽く引きそうになるくらいの勢いで謝ってきた。

「いや、別にいいよ。で、これは俺が持つとして、地面にある分を拾うの手伝うよ」

「え、え、えぇぇぇ。そんな悪いですよ。そのくらいなら私運べますから」

 彼女はあわてて缶を拾い始める。その動きはまるで小動物的で、見ているとなんだか癒される、そんな気持ちになる。

「いや、さすがにこれは無理だって。それに、落としたの俺のせいだし、手伝わせてくれないか?」

「……わかりました」

 彼女はしぶしぶ頷いた。

「ん、それにしてもこんなに大量の飲み物どうする気だったんだ」

 おれは彼女に尋ねる。おれには関係のない話だろうが、何か話していないと沈黙がつらいので、何か適当な話を振ったのだ。

「あ、それは部活の先輩から頼まれたんですよ」

 彼女は答える。ただ、先ほどよりいくらか緊張は和らいだのか、いくらかフランクになった気がする。おそらく、今の彼女が本来の彼女の姿なのだろう。

「だからって、いくらなんでもこの量は無いだろう。もしかして、君はいじめにでもあっているのか?」

「いえ、自分から志願したんです。先輩たちも多すぎるから、て何人かついてきてくれるって言ったんですが、邪魔しちゃ悪かったので一人で行ってきたんです」

 少女は、うれしそうに話す。本当にいじめとかそんなものではないようだ。

「まあ、いいや。ところで、君はこの学校の生徒?見たところそうは見えないけど」

「はい。あ、いえ、正確に言えば違います」

 なんだか要領を得ない発言に、少し混乱してくる。

「ええと、どういうこと?端的に話してくれ」

「あ、すいません、説明が不足していましたね。私、新入生なんです。なので、正確に言えば、明日からこの学校の生徒になります」

 なるほど。正確には違う、というのはそういう意味か。

「それで今日部活に出てるのは、私入学したら絶対この部に入ろうって決めているので、春休みから練習に参加させてもらっているからなんです」

 彼女はそう言った。確かにそういう学校もあるって聞いたこともあるな。特にこの学校は部活に力を入れているらしい、って由依も言っていた気がする。

「ところで、あなたはこの学校の生徒さんではないですよね?何しているんですか、こんなところで」

 彼女の話の矛先が俺に向けられた。

「さあ、どうだろうな。そうかもしれないし、もしかするとこの学校に忍び込んできた変態かもしれないぞ」

「ええええええ」

 彼女は、驚きのあまり今に泣きそうな顔で、全力で俺のそばから離れた。正直、リアクションを期待しての発言だったが、さすがにまずかったか。ていうか、ここまでされると逆にへこんでくる。

「そ、そんな冗談でごまかされませんよ。第一、この学校の生徒は少なくとも登下校中は制服着用が義務付けられてるんです。いくら学校がお休みの間でも、例外はありません。なので、この学校の生徒じゃないと思います。あれ、でもそうすると、この方は外部の人間、つまり変質者で…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 少女はそのまま地面にへたり込んで、まさに泣き始める一秒前みたいな顔になっている。これ以上はかわいそうだな。そう思って、真相をいってやることにする。

「えっと、まず、すまん悪かった。こんなことになるなんて思わなかったもんだからつい…」

「うぅ、ぐす、変態さんは近づかないでください」

 彼女は泣き出しながらも、精一杯の抵抗の姿勢を見せた。どうやら、逆に怖がらせてしまったようだ。ていうか、自分のまいた種とは言っても、変態よばわりされるのは地味に傷つくし、まして他の人に聞かれでもしたら非常にやばい。

「ああ、もう泣かないで聞いてくれ。俺が悪かった。このとおりだ、だから頼むからきちんと話を聞いてくれ」

 彼女は目に涙をためたまま、コクコクと頷いた。

「よし。じゃあ、まず自己紹介からだ。俺の名前は福山祐介。歳は十六歳の高校二年生、君の一つ上になるな。で、さっきからもめていることだが、ご推察のとおり、俺はこの学校の生徒じゃない、まだ正式にはな」

「あ、あのちょっといいですか」

 少女が話の最中に割って入ってきた。

「なんだ?」

「正式には、ってどういうことですか?」

「またどこかで聞いたような会話だな」

 先ほどの会話と同じ内容。しかし、違うのは俺が聞かれる立場、彼女が聞く立場になっていることである。

「まあ、そっちと似たようなものだ。この春からこの学校に編入することになったんだ。この街には昨日来たばかりだ」

 彼女は、何も言わずに聞いている。続きを聞かせろ、ということだろうと受け取って、話を続ける。

「まあ、昨日来たばかりって言っても、ガキのころはここに住んでいたこともあるから帰ってきた、といったほうが正確かな。それで、ここに来た目的はまあお使いを頼まれたてところか。俺からはこんなもんだが、何か質問はあるか?」

「じゃあ、もうひとつだけいいですか?」

 彼女は挙手している。

「なんだ?」

「お使いって言ってましたけど、それって一体…」

「ああ、うちの隣に住んでいる子がこの学校の生徒でな、そいつが弁当を忘れたって言うから届けに来たわけだ。そしたら、学校の中で迷子に…ブツブツ」

 何か最後に愚痴のようなものが混ざってしまったが、彼女はそれで納得したらしく、彼女は少しづつこちらに寄ってきた。しかし、十メートルほどは常に間隔があった。

「私は、変態さんなんかとは一緒にされたくないですから」

 彼女がそう補足する。どうやらまだ機嫌が悪いらしい。やはり、他人から変態扱いされるのは傷つく。

「俺がまいた種だから、もうこの際目を瞑ろう。それで、これどうするんだ?どこかに持っていくんじゃなかったのか?」

 両手いっぱいに抱えている缶を、軽く持ち上げながら言う。

「あ、そうでした。早く戻らないと。こっちです、ついてきてください」

 言われて思い出したのか、彼女は急に走り出す。もっとも、走るのは大いに結構なのだが、あせってまた落としていかないかが心配だった。

「ったく、待てよ。俺、道わからないんだからよ」

 彼女の後にしたがって、俺も走り出す。今度は、道に缶は散らばっていなかった。

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