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Letter番外編―猫と手紙 part7

 こんばんは、管理人でござい。今日仕事に帰って以来、気分が沈んでるわけですが、ようやく少し持ち直してきたなどと。でも、肉体的な疲労が結構やばいので、明日が心配・・・。


 今回の更新ですが、猫と手紙の第7話となります。妙なところで更新が滞ったり、いきなり小出しになったりと、色々とお騒がせしましたが、とりあえず今回で最終話となります。次回以降の更新予定ですが、今書いてる作品を順次アップできたらなと思います。ただ、今はまだ書き途中+書き足し中なのでもしかすると少し時間がかかるかも。それと、ネタ的に怒られかねないので、その辺も兼ね合いですかね・・・。それでは、本編に行きたいと思います。↓

~エピローグ~

 キーンコーン

 鐘の音が鳴り響く。それを合図に、授業をやめる教師。そして、挨拶が終わるや否や、教室が喧騒に包まれる。

「よし。今日の授業も、これで終わりだな」

 祐樹の机に、男子生徒が近づいてくる。そのまま、祐樹の肩に手を置こうとする。

「そうだな・・・」

 しかし、彼は気のない返事をしながら、それをかわす。

「おいおい、相変わらず釣れないな」

 男子生徒は不満そうな顔をした。それを見て、祐樹はひとつため息をつく。

「大体、授業中ほとんど寝てただろ、お前。そんなセリフを言っていいのは、まじめに授業を受けてたやつだけだっての!」

「何を言う!授業くらい、きちんと受けてたさ。夢の中ではだけどな!」

 男子生徒は自信満々にそう答えたが、祐樹は苦笑を浮かべるだけだった。

「それで、何しにきたんだ、お前?」

 祐樹は話を戻そうとする。すると、男子生徒は少し考えているような仕草を見せ、やがて思い出したかのような表情を浮かべた。

「そうだった。実は、これからいつものメンツでカラオケにでも行こうって話になってるんだけど、国崎もどうだ?」

「カラオケか・・・」

 祐樹は、考える仕草をする。

「あ、でも忙しいなら無理しなくてもいいぜ。ほら、いつもバイトとかで忙しそうだし」

 男子生徒は、慌ててそう付け加える。しかし、少しの間の後、祐樹はこう答えた。

「いや、行くよ」





 ナギが去った後、祐樹は家に戻った。結果として、学校をサボることになってしまったが、祐樹にとってはそれどころではなかった。

「・・・・・・」

 祐樹は手紙に対面したまま、動けなくなっていた。時折手紙に手を伸ばすが、途中で引っ込める、そんなやり取りを繰り返していた。

「やっぱり・・・怖いな」

 彼は、その手紙の中身を見ることを恐れた。気がつくと、彼の手は震えていた。

 彼が恐れていたのは、今までの人生が否定されることだった。両親と弟が亡くなって以来、彼は人と深く交わらない生き方を選んできた。それは、早く大人にならなければいけないという焦りからのものであり、また自分の心を守るための物でもあった。しかし、時間の経過とともに、いつしか、本当に間違ってないのかという迷いが生まれる。それに加え、先ほどナギに言われた言葉が心に突き刺さり、今まで以上に揺らいでいる。

「本当は気づいている・・・か」

 ナギの指摘は、ある意味では的を射ていた。しかし、またある意味では間違ってもいた。彼は、確かに今までの生き方について疑問を持っており、それは紛れもない事実である。しかし、その生き方を選んできたことについて、間違っていたとは思っていなかった。なぜなら、家族を失った悲しみから逃れるにはそれしかなかったからである。もしそうでなければ、彼は絶望の淵から二度と這い上がることができなかっただろう。

「でも、いつまでもそうしているわけにもいかない」

 人は成長し、同じ場所に居続けることはできない。時が来れば、いずれそこを去り、新たな場所へと行かなければならない。それにも関わらず、ずっとそこにあろうというのは逃げ、あるいは現実逃避に他ならない。そして、今がそのときなのである。

 祐樹は震えを押さえながら、手紙を手に取り、封を切った。手紙は3枚組で、各人一枚ずつのメッセージが込められているようだった。

「・・・」

 祐樹は、恐る恐る手紙に目を通す。そして、家族からの最後のメッセージをしっかりかみ締めるかのように、ゆっくりと読んでいく。手紙を読み終えると、彼はうなだれ、目からは涙がこぼれてくる。

 一枚目の手紙は、母親からのものだった。手紙の中で、彼女は自分のいなくなった後のわが子のこと案じていた。もっとも、ほとんどは取り留めのない内容ばかりだったが、最後の一文で、彼女はこう記していた。

『焦らず、ゆっくり、自分の道を見つけてください』

 二枚目は、父親からだった。前半部分では、先に逝ってしまったことへの無念と謝罪が綴られており、後半部分には、わが子にはこうあってほしいという願いとして、こう記されていた。

『友達をつくり、人生の先輩と知り合い、多くの人と交わりなさい。たとえ別れてしまっても、必ず財産として残るものだから。それが、最後のアドバイスです』

 三枚目は、弟の雄太からだった。祐樹は彼がほとんど字がかけなかったと思っていたが、そこには大きな文字でこう書かれていた。

『おにいちゃ ありがと』

 祐樹の目から落ちる涙。それは、久しく見ないものだった。家族の死を知ったときも、家族の葬式のときにも、涙は流れなかった。しかし、手紙を読み終えたとたん、堰を切ったかのように溢れてくる。彼が、家族の死と本当に向き合った証である。

 久しぶりの涙に、祐樹はどうすることもできなかった。涙をぬぐうことせず、赤ん坊のようにひたすら泣き続ける。そして、一頻り泣き終わると、どこか晴れやかな表情になった。そのまま、部屋の奥に設置された小さな仏壇に向き合う。

「母さん、父さん、雄太。いろいろ心配かけてごめん。でも、もう大丈夫だから。ここからまた、始めるから・・・」

 祐樹は仏壇に手を合わせ、遺影の中の家族に語りかける。もちろん、それに答える声は聞こえてこない。しかし、遺影の中の家族の表情が、ほんの少し微笑んだ、そんな気がした。



「そういえばさ、お前最近何かあったのか?」

 カラオケボックスへと行く途中、一人の男子生徒が尋ねる。

「何かって、そりゃ生きてれば、何かしらはあるだろ」

 軽い調子で、祐樹は答える。

「そういう意味でなくてさ、何か生き方を変えるみたいな、そんな重大事件とか起こったりしてないかってことだよ」

「何だよ、それ。アニメやマンガじゃあるまいし。具体的に、どの辺が変わったんだよ?」

「何というかさ、雰囲気というか、前よりもとっつきやすくなった気がするんだわ。それに、今までならうちらが遊びに誘ってもほとんど来ないってのに、ここのところは乗り気に見えるし」

 あれから、数ヶ月。依然として、一人で過ごすことが多かった祐樹だったが、若干の変化が現れ始めている。それは、彼が考え抜いた上で出した答えでもあった。急激に変わることは無理だとしても、少しづつなら変わっていくことができる。それは心のリハビリのようなものである。その果てで、何が待っているかはわからない。もしかしたら、絶望が待っているかもしれないし、何が待っているかはわからない。それでも、彼はそうすることを決めた。そのことに後悔はない。

「別に、何もねえよ」

 祐樹は、ぶっきらぼうにそう答える。

「はっきり言い切るところが怪しいな。さては、彼女でもできたんだろ?」

「はぁ?何を言って・・・」

「皆まで言うな。大丈夫、俺には全部わかってる。そうだな、とりあえず、いつでもいいからその子を紹介してくれよ?」

 祐樹の言うことに全く耳を貸さない男子生徒。あまりに騒ぎ立てるため、祐樹は思わず脛を蹴りつける。すると、敏感なところにヒットしたらしく、男子生徒は地面に倒れ、悶絶している。涙声で何かを言っているが、祐樹はあくまでも無視を決め込む。

「さて、ほかの連中を待たせているところだし、とっとと行くか」

「華麗にスルーするなよ・・・」

 痛みから回復した男子生徒が突っ込みを入れる。ただ、まだ完全ではないらしく、歩き方がややぎこちない。

「大体、あれは反則・・・」

「よっしゃー。俺の歌を聞けぇ!」

「さすがにそれはやば・・・って、置いてくんじゃねえ!!」

 男子生徒に合わせる気はさらさらない様子で、祐樹は歩いていく。その後ろから、どこか間の抜けた怒鳴り声が木霊した。



 一人ぼっちになってしまった少年がいた。いつしか彼は、涙を封印し、自らの思いさえ偽った。

 しかし、少年は新たな道を選択し、再び歩き出した。歩みは遅くとも、一歩一歩確実に。


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